再構築されたブリティッシュ・モダニティ。バーバリーが２年ぶりにロンドンでキャットウォークを開催

小雨が降りしきる３月のロンドン。ちょうどパリファッションウィークが終わった翌日、ロンドンでまさにシーズン最後のショーが特別に開催された。それはパーバリー２０２２年秋冬コレクション。

コロナのパンデミックが始まって以来、バーバリーはフィジカルのショーを行わず、インタラクティブで発表し続けてきた。そして今回、２年ぶりのショーが行われたのだ。

前日には一本のばらが添えられた「Thank you」と刺繍された刺繍用フープと招待状が届き、ショーへの期待が高まる。そして当日ショー会場となるセントラルホールウエストミンスターへ。音楽界、アート界、そしてファッション界など、さまざまなクリエイティブ業界から招待された人々。今回は座席が一切用意されておらず、招待された人々は全てスタンディングだ。ショーが始まる前、招待客で賑わうロビーは、さながらこれからパーティが始まるような楽しさが充満していた。

セントラルホールウエストミンスターの歴史的なドーム型の 天井と巨大なオルガンを背景にもつ壮大な劇場内で発表された今回のコレクション。グレート・ホールはバーバリーの シグネチャーであるブラウントーンに染められ、華麗なプライベートダイニングルームに変化。真っ暗な空間からスタートし、ショーが始まるとモデルたちが階段を降り立ち、観客の間を縫うように歩きながら照明の当たる ハイテーブルの上に上がりポーズを決める。その伴奏を務めるのがロンドン・コンテンポラリー・オーケストラ。そしてオーケストラを挟むように100 人の合唱団の声が美しい声を奏でる。

私にとって、所属することの意味や、自分のルーツがアイディンティティにどう影響するのか、コミュニティや団結するパワーが実際に世界にどんな意味をもたらすのかを探求することが大切でした。

ロンドンは、バーバリーが生まれ育ち、ファミリーを築いてきた場所。私にとってロンドンは、夢が詰まった場所であり、受け継がれてきた伝統の上に成り立っている首都であり、多様なコミュニティや、限りない可能性を追求して限界を越えるアティチュードが一体化する場所なのです。 コレクションは、素晴らしい過去を称えつつ未来を見据える、英国ならではの形のない本質を具現化しました。

感謝と希望と愛を込めて

リカルド・ティッシ、バーバリーチーフ・クリエイティブ・オフィサー

メンズ、ウィメンズと両コレクションが発表された今回のショー。ウィメンズは、トレンチをゴージャスに再構築したドレス。そしてバーバリーチェックを用いたデイウェア、そして鮮やかな黄色のラッフルガウン。ブランドの豊かな歴史とハウスコードを基に、伝統にプレイフルな ツイストを加え、ヘリテージを再構築。秋らしい色彩に溢れ、クリスタルが 散りばめられた英国カントリーサイドのイブニングウェアから着想を得たドレス。また、馬上の騎士のデザインやオークリーフ(オークの葉)クレストなど、バーバリーの アーカイブからのアイコンをリバイバルさせた。 

また今回のショーでは、バーバリーの常連モデルからニューフェイスまで、さまざまな顔ぶれが登場する中、高い評価を 集めるイタリア人シンガーソングライターのマムードや、イギリス人プロボクサーのリチャード・リアクポーレ、映画監督のジャレッド・バッキエスター、ミュージシャンのVvarhollaなどが特別にモデルとして登場。 

「素晴らしい過去を称えつつ未来を見据える、英国ならではの本質を具現化」した、というクリエイティブ・オフィサーのリカルド・ティッシ。まさにパンデミックからの再生を象徴するような素晴らしいコレクション。