リチャード・クイン、アーデム、そしてハルパーンが見せたエリザベス女王への哀悼のクリエイション
2022年9月。コロナ禍からようやく本格的に復活することになった春夏コレクションのロンドンファッションウィークのわずか1週間前にエリザベス女王が逝去された。その訃報を聞いた数人のデザイナーが、ほんの数日間で哀悼のドレスを制作して、コレクションに合わせて発表し哀悼の意を示したのだ。
リチャード・クイン
エリザベス女王から賞を受賞したときはとても信じられなかったーリチャード・クイン
2018年に初めて設立された第1回クイーン・エリザベス2世デザイン賞(the inaugural Queen Elizabeth II Award for British Design)に受賞したリチャード・クイン。彼は授賞式でエリザベス女王自らトロフィーを渡された。このとき(もちろんクインは最初から女王が来ることは伝えられていた)、サプライズで登場した女王に会場にいたプレスやバイヤーは一様に驚きの声を上げた。
そんなリチャード・クインの今シーズンのコレクション会場は王立園芸ホールで行われ、カーテンで仕切られたステージ中央に設置されたのはインスタレーションに吊り下げられた小さなテレビスクリーン。このスクリーンに映し出される女王の晩年のアーカイブ映像を背景に、22のルックがその周りをゆっくりと歩く。
コレクションは、カラフルな装飾やラテックスタイツといった彼のシグネチャーデザインに加え、バルーンショルダーや誇張されたウエストなど、特にアバンギャルドなシルエットが登場し、巨大な花のコサージュや短いケープがさらなる装飾を添える。
まさに10日間にわたる国民の忌服期間を締めくくる、心にしみるコレクションでもあった。
アーデム
![ERDEM SS23 Look1](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/ERDEM-SS23-Look-1-Photographed-by-Jason-Lloyd-Evans-1.jpeg)
“悲しみは愛に伴う代償”
このランウェイをエリザベス二世女王陛下に捧げます ー アーデム
![ERDEM SS23 Look 4](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/ERDEM-SS23-Look-4-Photographed-by-Jason-Lloyd-Evans-240x300.jpg)
Photographed by Jason Lloyd Evans
![ERDEM SS23 Look 1](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/ERDEM-SS23-Look-5-Photographed-by-Jason-Lloyd-Evans-240x300.jpg)
![ERDEM SS23](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/ERDEM-SS23-Look-42-Photographed-by-Jason-Lloyd-Evans-240x300.jpg)
![ERDEM SS23](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/ERDEM-SS23-Look-6-Photographed-by-Jason-Lloyd-Evans-240x300.jpg)
![ERDEM SS23](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/ERDEM-SS23-Look-10-Photographed-by-Jason-Lloyd-Evans-240x300.jpg)
18世紀の刺繍、15世紀に描かれた油絵、17世紀のオランダ製エッチングなど世界のアートを蘇らせた見事なコレクション。
ハルパーン
![HALPERN SS23](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/HALPERN-SS23-Runway-©-Thomas-De-Cruz-Media_-Iker-Aldama-.jpg.jpg-683x1024.jpg)
ショーのオープニングを飾るブルーのルックは、亡き女王へのオマージュであり、その色合いとシルエットは、私にとって、創造性、開放性、そして創造の自由への幅広い支持を促進した治世を思い起こさせるものです ー ハルパーン
アメリカの玩具メーカー「Mattel」社とコラボしたハルパーンの2023年春夏コレクションは、バービーとドリームハウスが幼少期から彼に与えたイマジネーションに捧げる8つのルックを制作した。マテル社のアーカイブから歴代のバービーのワードローブにアクセスすることができた彼は、シェブロンパターン、ポルカドット、サンセットパレットなど、バービーのルックからインスピレーション。床まであるドレスのシルエットは、ハルパーンの特徴である華やかなスパンコール、チュール、ラッフルで表現されている。
![HALPERN SS23](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/HALPERN-SS23-LOOK-1-Runway-©-Thomas-De-Cruz-Media_-Iker-Aldama-200x300.jpg)
![HALPERN SS23](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/HALPERN-SS23-LOOK-23-Runway-©-Thomas-De-Cruz-Media_-Iker-Aldama-200x300.jpg)
![HALPERN SS23](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/HALPERN-SS23-LOOK-15-Runway-©-Thomas-De-Cruz-Media_-Iker-Aldama-200x300.jpg)
![HALPERN SS23 LOOK16 ©-Thomas-De-Cruz-Media_-Iker-Aldama-scaled.jpg](https://coteriemagazine.co/wp-content/uploads/2017/09/HALPERN-SS23-LOOK-16-Runway-©-Thomas-De-Cruz-Media_-Iker-Aldama-200x300.jpg)
今年、イギリス国籍を取得することになったハルパーン。2017年にセントラル・セント・マーチンズで教育を受けるためにイギリスに渡り、それ以来、彼はイギリスを「故郷」と呼んでいる。
ハルパーンはその思いをこう語る。「この特別なルックは、私のようなデザイナーに、ファッションと楽観主義という唯一の方法で表現することを許してくれた女王に感謝の意を示すためのものです。暗闇の中で、ファッションのファンタジーに楽観性と強さを見出すのが、私の信条です。今回はまさにその例を表現しました」